チームビルディングというと、会議室でのワークショップや座学を思い浮かべる方も多いかもしれません。けれど、多摩川のラフティングには人と人との関係性を一気に立ち上げる力があります。その理由のひとつは「状況に応じたコミュニケーション」が、否応なく求められる環境にあることです。

たとえば、視覚に障害のある方が参加する場合。ガイドや周囲のメンバーは、景色や川の流れ、安全に関わる情報をすべて声で伝えます。一方、耳が聞こえない方がいるときには、前に一人モデルとなる人を置き、その動きを見ながら、全員で漕ぎ方やペースを調整します。

「目が見えない方ほど、感覚が鋭いことも多いんです。水の流れやボートの揺れを、すごく敏感に感じ取っている。それに気づかされるのもラフティングの面白さですね」と話すのは、青梅市の御岳渓谷を拠点に活動する「みたけレースラフティングクラブ」代表、柴田大吾さん。

アウトドア体験は、バリアフリーとは正反対の場所にあるように見えるかもしれません。段差があり、天候も変わり、水の流れも一定ではありません。けれど実際には、人と人との関わり方次第で、そのハードルは越えられる。むしろ、その過程そのものが体験の価値を高めていきます。

ラフティングでは、川の状況やメンバー構成が少し変わるだけでボートの空気も大きく変わります。声をかけるタイミング、相手の様子を察する力、自分の役割を理解すること。どれもマニュアル通りにはいきません。

「関係性の質」を自然の中で可視化する

観光で訪れる人も、「景色がきれいだから」だけではなく、「あの人にまた会いたい」という気持ちでリピーターになることが多い。柴田さんは、ラフティングを通じて、そのことを何度も実感してきました。

この体験は、大人だけのものではありません。ラフティングは小学校1年生から参加でき、ライフジャケットを着用し、安全管理を徹底したうえで行われます。地域の消防署との協定も結び、万が一に備えた体制も整えています。

自然を守るマインドを育てるためにも、まず必要なのは「楽しい」という実感。楽しさがあるからこそ、安全や環境、人との関係について学ぶ余地が生まれます。これは子どもに限らず、企業のチームづくりにも通じる考え方です。

川の上では、肩書きも役職も関係ありません。必要なのは、相手をよく見て、声をかけ、タイミングを合わせること。その積み重ねが、チームとして前に進む感覚を自然と生み出していきます。会議室では見えにくい「関係性の質」を、自然の中で可視化する。ラフティングは、そんなチームビルディングの場にもなり得る体験です。

この研修が目指しているのは、一時的な「レクリエーション」ではなく、職場に持ち帰れる「エデュケーション」や「デベロップメント」です。自然の中で生まれた対話や気づきが、日常のチームにどう還っていくのか。そのプロセスそのものを、大切に設計しています。

▶︎ 地域とともに学ぶ、東京サステナブルツーリズム研修はこちらからお問い合わせください